長男の外国人登録を虚偽申請したとする外国人登録法違反容疑などで大阪府警に逮捕された中国籍の貿易会社代表取締役の男(62)=大阪市=が、諜報部門を傘下に持つ中国人民解放軍総参謀部と定期的に連絡を取っていたことが20日、捜査関係者への取材で分かった。同時に、軍事転用が可能な技術を持つ機械工業メーカーなど複数の日本企業関係者とも接触していたという。
警察当局は、男が情報収集活動に携わっていた可能性もあるとみて捜査。その中で、男が「総参謀部に在籍している機関員」との情報も得たという。
平成24年に、スパイ活動の疑惑が持たれた在日中国大使館の1等書記官が、警視庁公安部から出頭を求められながら帰国してしまった事件など、合法的な身分を隠れみのに活動する機関員は摘発が難しく、活動実態は謎が多い。警察当局は男の自宅や会社などから押収した資料やパソコンを解析し、活動の実態解明に全力を挙げる。
捜査関係者によると、男は中国内陸部の河南省洛陽にある解放軍系の外国語学院を1970年代に卒業した。専門家によると、この学院は人民解放軍直属で、男が在籍した70年代はスパイ養成学校の性格が強く、外国の軍事情勢を偵察する任務を負う人材を育成していたともされる。