殺害された男は、地元の女性をレイプしたとして2月24日に逮捕された。被害女性は地元メディアの取材に応じ、男から犯行の口止め料として5千ルピー(約9500円)を渡されたが、警察に被害を届け出たと語った。
しかし、事件はその後、別の展開を見せている。ナガランド州政府は、男の供述から女性はレイプされたのではなく、2人は合意のうえで2度、性行為に及んだとみられると連邦政府に報告したのだ。地元メディアは2人がホテルに入る様子をとらえた監視カメラの映像を伝えたが、女性が男に無理やり連れ込まれる様子は写っていなかった。男は無実だった可能性が高まっている。
群衆の怒りが爆発した背景には、一つの「誤解」もあったようだ。群衆らはイスラム教徒だった男が隣国バングラデシュからの不法移民だと訴えていたが、事件後、男の家族が名乗り出て、男は隣接のアッサム州出身のインド人と判明したからだ。インド北東部では、バングラデシュからのイスラム教徒の違法越境が常態化しており、地元住民は「土地や仕事が奪われている」と不満を募らせ、アッサム州などでは住民間の暴力が頻発しているという事情がある。