経済インサイド

農業激動時代 商社が主導する「畜産」「飼料」「肥料」業界再編

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や農協改革など農業を取り巻く環境変化に合わせ、飼料や肥料、ハムなど畜産関連業界の再編が風雲急を告げている。肥料では2月17日に丸紅系と全国農業協同組合連合会(JA全農)系の肥料会社が合併を発表。翌18日には飼料でも再編が勃発、飼料製造販売大手の中部飼料が、伊藤忠商事子会社の伊藤忠飼料と資本・業務提携の協議開始を発表したのだ。伊藤忠商事はさらにハムメーカーで独立系の丸大食品への資本参加も表明した。資源依存から脱し、「食糧・食品」を次世代の収益の柱に据える大手商社の主導で、業界地図が塗り変わろうとしている。

独立系「中部飼料」動く

 肥料業界では、業界4位のJA系のコープケミカルと5位の丸紅系の片倉チッカリンが、10月1日付で合併し、国内最大の肥料会社となる。政府が掲げる強い農業に肥料は欠かせない存在だ。有機肥料に強い片倉チッカリンと、化成肥料に強いコープケミカルが経営統合することで、技術開発に磨きをかけるとともに、経営基盤を強化するのが狙いだ。

 片倉チッカリンの野村豊社長は「日本の農業の復活に貢献できる」と強調。約40社がひしめく肥料業界は需要が減少傾向にあり、これまで目立った動きがなかったが、今回の統合をきっかけに、再編が動き出すとの見方が業界で浮上している。

会員限定記事会員サービス詳細