被災地の「文化財」発掘に新たな壁…人手不足で報告書作成に苦慮「歴史となるには何年も先」(1/2ページ) - 産経ニュース

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被災地の「文化財」発掘に新たな壁…人手不足で報告書作成に苦慮「歴史となるには何年も先」

 東日本大震災からまもなく4年を迎える。被災者が移り住む高台の造成が進むが、出土した文化財の発掘事業が思わぬ壁に阻まれている。全国からの応援職員の手を借りて調査を実施したものの、出土品の歴史的な意義を決める報告書の作成が人手不足によって滞っているためだ。阪神大震災後の発掘調査でも、報告書が完成していないケースもあり、各自治体は対応に苦慮している。(高木克聡)

 「釜石の歴史は確実に変わります」。岩手県釜石市の郷土資料館で2月4日から始まった企画展「発掘された釜石史-復興関連発掘調査速報-」で、市職員は興奮ぎみに展示物を解説した。

 企画展では、内陸部でしか見られなかった縄文時代の大規模住宅の跡や、奥州藤原氏との関連を示す中世の陶磁器など、約150点の新発見が展示されている。一方で「発掘結果が歴史となるには何年も先になる。これから山のような報告書の作成が待っている」と市職員は疲れた表情を浮かべる。

 報告書とは、出土品が見つかったときの状況や科学分析の結果などを細かく記した文書で、考古学者はこれをもとに学説を展開する。報告書がなければ、歴史に新たな一ページを刻むことはできない。

 被災地の遺跡調査は、高台工事に遅れを出さないように全国から応援を得ながら、土が凍る東北では異例となる冬場の強行日程で進められた。岩手県教委によると、高台移転にともなう発掘調査は91カ所で、すでに84カ所の調査が終了しているという。