開発陣はかつてない重圧を感じていたが、商品づくりには自信もあった。改良の方向性が当初からおおよそ見えていたからだ。
摘み採られた茶葉は、蒸したり、もんだりしながら乾燥させたりする「荒茶工程」など、いくつもの工程を経て商品化される。それぞれの工程に隠れたノウハウがあり、茶葉の使用量が少し増えただけで、味も香りも違ってくる。
工程を再度突き詰める
開発陣は今回、その工程を再度、突き詰めた。その一つが「火入れ」だ。
荒茶工程を経た茶葉は形や大きさが不ぞろいで、味も雑味が残っている。そのため、煎ったり、熱を加えたりする火入れで、味と香りを良くしている。伊藤園はこの工程に「新・後火仕上げ」と呼ぶ独自方式を採用。茶葉から余計な部位を丹念に取り除き、形や重さを細かく分別した後でそれぞれに適した火入れを行っている。
新商品では、分別による火入れをさらに徹底した。火入れに精通した「茶師」と呼ばれる社員を総動員し、火入れの温度や時間を微調整。高品質の専用茶葉を増量し、これに見合うだけの風味を引き出すのに成功した。