日々是世界

「西側の価値観」排除を指示 中国、大学にも思想統制

 中国の袁貴仁教育相(64)が、国内の大学に「西側の価値観」を「排除」するよう指示したことが波紋を広げている。習近平政権が推し進める思想統制の一環だが、教育関係者らが疑問の声を上げ、論争を呼んだ。海外メディアは、中国指導部が思想引き締めに走る要因や負の影響を論じている。

教育相が厳命

 「われわれの教室に西側の価値観を広める教科書を絶対に入れてはならない」

 中国国営新華社通信のニュースサイト、新華網の1月29日付記事によると、袁教育相はこの日、北京大や清華大など名門大学の責任者らを集めた会合で、教科書の使用管理の強化を求め、中国共産党の「指導を誹(ひ)謗(ぼう)し、社会主義に泥を塗る言論が大学にはびこるのを決して許してはならない」と強調した。

 「西側の価値観」とは何なのか。中国紙、光明日報(電子版、1月31日)が掲載した中国政府のシンクタンク、中国社会科学院の研究者の論考は「米国を代表とする西側国家が宣揚する立憲・民主や普遍的な価値、新自由主義」を例に挙げた。

 これらに先立つ1月19日、中国共産党中央と中国政府は、大学に対して「社会主義の核心的価値観教育」の徹底などを求める「意見」を発表しており、袁教育相の発言は、中国指導部の意向を大学の現場に下ろした形だ。

 だが、これは学問の自由の侵害に他ならない。大学関係者はもとより、それ以外からも批判が上がった。

会員限定記事会員サービス詳細