「藻場は神秘的でまるで海の森」 中村征夫さん、香川の里海を潜る

 「カサゴやアミエビなどが右往左往、藻場に集まる稚魚たちの姿は神秘的で、まるで海の森のようだ」-。「第2回かがわ『里海』づくりシンポジウム」(28日、高松市で開催)で講師を務める報道写真家、中村征夫さん(69)が抱いた瀬戸内の海中のイメージ。シンポを前にした今月初め、香川県沖の海に潜った水中写真の第一人者に同行した。

 中村さんは20歳の時から独学で水中写真に取り組み、東京湾をはじめ国内外の海に潜って生き物などを撮り続け、報道的な視点で海の魅力と環境問題を伝え続けている。今回、シンポジウムに向けて美しい瀬戸の海と呼ばれる県内数カ所の海中に潜り、カキやノリ、ナマコなどの海の恵みに水中カメラのレンズを向けた。香川県沖の海中を潜るのは10年ぶりという中村さん。カキ養殖で知られるさぬき市の沖合では、養殖場直下の海中などで撮影に臨み、「ぶら下がったカキがシルエットとなって、海中でひとつの空間世界をつくっている」と感激。同市沖のノリの養殖場では「茶色のノリが揺れ動く様は、海の中の野菜畑のよう」と表した。

 瀬戸内海の撮影で中村さんにとって最も印象に残ったのが、同市長浜沖の天然の藻場。ホンダワラやアカモクなどの藻が繁茂する光景に、「まるで海の森。藻場は稚魚たちの揺りかごになっていて、まさに里山が海に続いているような感じだった」と、神秘との遭遇にとても満足したという。人の暮らしと深い関わりを持つ里海。豊かな生態系を持ち、稚魚の成育や魚類の産卵場所になるなど海の生き物にとっても重要なポイントだ。

 撮影を終えた中村さんは「海の恵みをもらって人は生きているという意識があれば、生活が豊かになることによって打撃を受ける海の変貌を防げる」と、陸上の変化がそのまま海中の変容にもつながる実情を強調した。高松市のサンポートホール高松で開かれる香川県主催の同シンポジウムで、中村さんは「里海からのメッセージ」と題して講演する。また、「美・食・住。極上フィールドここにアリ」をテーマにした座談会に出席し、人と海の生物が共存できる環境の大切さなどを訴える。

 シンポジウムは午前10時から開会。入場無料。定員300人。申し込み・問い合わせは同県環境管理課(電)087・832・3218。

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