寒さが続き、朝晩は着込んで出かける人の姿が目立つ。だが寒いからといって、とにかく着込めばいいというものではない。防寒対策のつもりで重ね着しても間違えると、むしろ体を冷やしてしまうこともある。きちんとした知識を持って、衣服、コーディネートを選びたいものだ。(兼松康)
■75%が「肌着の重ね着」経験
「寒いなあ。今日はかなり着てきたんだけど」
「いったい何枚着てるんだよ」
「えっと、肌着2枚にシャツ、フリース、パーカーの上にダウンだよ」
「着すぎだろ、それ」
1月の冷えた朝、都内で男子大学生風2人の、こんな会話を耳にした。
また、朝の通勤電車では、冬恒例の着ぶくれラッシュが目立つ。電車内は外に比べて暖かく、外気との温度差に体が必死に対応しようと、額に大粒の汗をかく人の姿を見ることもまれではない。
「体に汗などがついたまま、濡れたものを着ていると、気化熱で体温を奪われる」と指摘するのは、アウトドア流の防災や防寒の方法について講演活動などを行っている、あんどうりすさん。
特に綿製の肌着については「綿は保水する素材なので、体温を奪われやすい」として、機能性肌着の活用を勧める。主に防寒用の肌着として知られ、12年ほど前に登場。現在、多くの衣料メーカーから商品が販売されている。「汗や水蒸気を熱に変えて発熱できるので、一番内側に着て初めて意味がある」と、あんどうさんは説明する。