仙台厚生病院が「県立医学部新設」で土地建物売却 10年以内に移転へ

 東北で1校に限り認められる医学部新設を目指していた仙台厚生病院(仙台市青葉区)が、県が県立での医学部新設構想を発表した後の昨年7月に、病院の土地と建物を売却していたことが18日、関係者への取材で分かった。同市青葉区内で移転し、新医学部の仙台の拠点病院となる予定にしていたという。構想の頓挫後も、同病院は10年以内に別の場所に移る方針にしており、用地交渉などの準備を進めている。

 同病院は震災前から東北地方の医師不足問題を訴え、病院主導で医学部の新設を計画した。震災後に復興特例で医学部新設が認められるようになり、東北福祉大と連携して準備したが、昨年5月の応募期限の直前に同大が断念。しかし、期限前日に村井嘉浩知事が県立での医学部新設構想を発表すると、200億円を拠出して支援することを約束した。

 さらに、栗原市を本拠地とする予定だった県立医学部の仙台市内の拠点施設化を目指し、「仙台医療センター」の設置も計画。病院の土地と建物の売却益を元手としてより広い敷地へ移り、3年以内に同センターとなる方針にしていた。

 病院の土地と建物の売買契約は昨年7月31日、オリックス(東京都港区)との間で成立。しかし、約1カ月後に、文部科学省が医学部の新設先に選んだのは、東北薬科大(仙台市青葉区)だった。

 同病院の目黒泰一郎理事長は産経新聞の取材に対し、売却の意図について「県の構想が勝つだろうと思っていた」と、県立医学部構想の選定に自信を持っていたことを明かした。オリックスと土地、建物のリース契約を結んでいるため、同病院は現在の場所で運営されている。ただ、目黒理事長によると、「医学の進歩で最新機器を次々導入したり、手術室を増やしたりして、手狭になってきている」といい、リース契約の終わる10年以内に病院を移転する予定という。

 現在、同市青葉区内で現有施設の3倍程度の面積を持つ土地取得へ向け、交渉中。病床数は現在の409床を維持するが、最新の医療機器の導入による設備増などで広大な敷地が必要という。今後急増すると考えられる外来手術(入院せず日帰りで帰る手術)の受け入れを手厚くし、患者数の倍増を見込む。

 目黒理事長は「医学部新設の志は破れたが、今後は高度医療と救急に特化して成功した仙台厚生病院の選択と集中のモデルをますます発展させ、全国に発信していくのが夢」と話している。

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