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大阪府東大阪市は、市に事前登録している認知症高齢者の衣服や靴などに、QRコードの付いたシールを貼り付け、徘徊(はいかい)して行方不明となった場合に、発見者がQRコードにスマートフォンなどをかざすと、市の連絡先が表示されるという全国的にも珍しいシステムの運営を始めた。ものづくりの町の技術を集結した取り組みで、市は徘徊対策の切り札としてシールの配布や登録への呼びかけを進めている。ただし、高齢者にシールを貼り付ければ、高齢者が認知症であることを公然と知らせるという個人情報に関わる問題も潜んでおり、慎重な運用を指摘する専門家も。導入を検討する他の自治体からも視察が相次ぐ中、今後、普及に向けて議論を呼びそうだ。(香西広豊)
■シールで迅速な身元確認
「多くの市民の方にこのシールのことを知ってもらい、認知症高齢者に対する理解を深めてほしい」。
市福祉部高齢介護課の山内江美子さんは、今月から運用を開始した「見守りトライくんシール」を使った認知症高齢者対策に大きな期待を寄せる。
今回、市が配布した「見守りトライくんシール」は縦2・5センチ×横4センチのコンパクトなサイズが特徴。シールの左側にはラグビーの町東大阪市のキャラクター「トライくん」のかわいいイラスト。その上に、登録者番号を書き込める空欄があり、シールの右側にはQRコードが印刷されている。
このQRコードを読み取ることができるスマホなどをシールにかざすと、市が運用する徘徊高齢者の捜索支援システム「SOSオレンジネットワーク」の事務局の電話番号が画面に表示される。連絡を受けた事務局が、シールの空欄に書き込まれた登録者番号を確認することで、徘徊高齢者の身元確認がスムーズにできるという仕組みだ。