【新人記者奮闘す】湯川さんの父親は堰を切ったように泣いた…テロリズムへの憤りに震えた2週間 (4/4ページ) - 産経ニュース

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新人記者奮闘す

湯川さんの父親は堰を切ったように泣いた…テロリズムへの憤りに震えた2週間 

〈2月1日〉

 午前6時前。この2週間近くで、何度あったかわからないキャップからの着信は「殺害動画が流された」。インターネットで動画を探すと、覆面の男が後藤さんとみられる男性にナイフを突きつけていた。「このナイフは、日本の国民がどこにいようとも虐殺をもたらすだろう。日本の悪夢が始まる」。暗転。再び残虐な映像が流れた。

 同日10時ごろ。再び報道陣の取材に応じた湯川さんの父親は、今までの思いがあふれたのか堰(せき)を切ったように涙を流し始めた。もし、覆面の男がこの姿を見たらどう思うだろうか。「やってやった」とせせら笑うだろうか。その背中を踏みにじってまで成し遂げたいテロリズムの理想とは、それほど尊いものだったのだろうか。

〈2月2日から〉

 1月20日に拘束され、2月1日までに2人の日本人男性が殺害されたとする約2週間にわたる一連の事件は、まだ終わっていない。2人が殺害されたとみられる情報を受けて、警視庁と千葉県警は合同捜査本部を設置。国外犯規定に基づき、人質強要処罰法違反(人質殺害)容疑を視野に捜査を進めるという。

 2日、政府は2人の遺体の回収は難しいと発表した。息子の亡きがらも確認できない湯川さんの両親の悲しさは推し量れない。イスラム国の言っていた「悪夢」とは、このことかと思った。

 4日には、イスラム国がヨルダン軍のパイロットとみられる男性を殺害した映像をインターネット上に投稿。これを受け、ヨルダン政府は、同日、報復措置として死刑囚の死刑を執行したと発表した。

 テロとの攻防はこれからも続くだろう。記者である限り、再び取材する場面も訪れるかもしれない。その都度、子供心に感じた理不尽さへの怒りと、湯川さんの父親の涙を思い出すだろう。それが、テロの悪行を許さない強い思いへと変わればいい。(千葉総局 中辻健太郎)