新人記者奮闘す

湯川さんの父親は堰を切ったように泣いた…テロリズムへの憤りに震えた2週間 

〈1月25日〉

 早朝、湯川さんの父親が報道各社の代表取材に応じた。外務省から入った連絡で事態を把握し、モザイクのかかった画像をテレビのニュースで確認したという。終始硬い表情で、時折声を震わせながら報道陣の質問に答え、湯川さんとみられる男性の画像について「本人でなければいい」と繰り返すその姿に、10歳の頃に見た911テロの犠牲者家族の姿が重なった。

 米国を襲った911テロは、初めてテロという言葉を知った事件だった。犠牲者の家族が悲痛な泣き声をあげる様子をテレビや新聞で目の当たりにする度に、テロリストへの憤りが募った。無関係の人を巻き込み、その家族たちを悲しませるテロリズム。子供心にその身勝手さに対して抱いた怒りは、10年以上経って再び直面した今も変わっていない。

 新たに公開された画像では、後藤さんとみられる男性の声で、自爆テロを企てたとみられる女性死刑囚を解放しろ、というメッセージを突きつけていた。

〈1月26~31日〉

 26日には、同僚の記者が市川市にあるモスクを訪れ、イスラム教徒に取材を行った。教徒の男性の1人は、動画が公開された日に、日本で生まれ育った中学生の息子がいじめられ泣いて帰ってきたと話したという。

 死刑囚を収監中のヨルダンの国営テレビは28日、イスラム国が拘束しているヨルダン軍のパイロットを開放すれば死刑囚を釈放する用意があると放送。人質の解放に向けて関係各所が全力を尽くしていた。

 29日、またも後藤さんとみられる男性の音声が公開され、死刑囚の移送を要求。インターネット上では「移送が開始された」「イスラム国が、人質を解放する動きを見せている」などの情報が流されたが、真偽は定かではなかった。

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