そうこうしている間に、九電は民間企業として存続の危機に陥った。
平成27年3月期の連結決算は4期連続の最終赤字となる見通しだ。債務超過が現実味を帯びる九電に、金融機関は「電気料金再値上げ」を融資条件に挙げるようになったという。
しかし、原発再稼働を視野に入れながらの再値上げは、利用者の反発が大きい。経済再生を掲げる政府、経済産業省の理解も得がたい。
社内に亀裂も走り始めた。書類作成が進まない原子力部門への風当たりが強くなり、将来像を社員に示せない経営陣への不満も積み上がる。
九電経営陣は、まさに四面楚歌といえる状況だ。
高浜には訴訟リスク
高浜原発の合格を獲得した関電は、したたかだった。
九電との折衝における規制庁の言動を逐一つかみ、自社の書類に即座に反映させている。この結果、関電は高浜原発の補正書の大半をすでに提出した。8万2千ページにも達したという。