慶応義塾の塾長を務めた小泉信三は昭和33年、防衛大学校の卒業式で祝辞を述べた。その中で小泉は、先人の残したものをよりよきものとして子孫に伝える義務を説いたうえで、こう続けた。
「子孫にのこすといっても、日本の独立そのものが安全でなければ、他のすべては空(むな)しきものとなる。然(しか)らば、その独立を衛(まも)るものは誰(だ)れか。日本人自身がこれを衛らないで誰れが衛ることが出来よう」(小泉信三全集から)
57年前の言葉がそのまま、目下の国防への警鐘となっていることに驚かされる。中国の領海侵入などで日本の主権が脅かされているばかりか、国際的なテロ組織によって国民の命が危険にさらされてもいる。
だが、わが国の現状は、自らの国防力を高めるための法整備も十分ではなく、その隙をつかれて攻撃される恐れもある。紀元節制定時に倣って今こそ、国を挙げ「日本人自身が日本を衛る」覚悟を決めなければならない。