安倍政権考

朝鮮総連本部「継続使用」 日本政府沈黙の裏側

 競売された在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の中央本部ビルが、落札した不動産業者から別の業者に転売されたことで、朝鮮総連はそのまま入居し続ける見通しとなった。

 日本政府は表向き、競売や転売への関与を完全に否定して無関心を装っているが、実は拉致被害者らの救出を目指す日朝協議を通じて北朝鮮から継続使用を強く要求され、対処に困っていた。朝鮮総連が中央本部ビルを継続使用できるようになることで、拉致問題交渉のカードに使えるという期待が出てくる。ただ、税金を投じた不良債権問題で競売が行われた本部ビルに朝鮮総連が入居し続けることに、国民の理解は得られそうもない。政府が無関心を装うのは、こうした事情があるのだ。

完全否定で国民批判回避

 本部ビルは平成26年3月、約22億円で高松市の不動産業「マルナカホールディングス」が落札した。それが今年に入り、山形県酒田市の不動産会社「グリーンフォーリスト」に約44億円で転売する契約が1月28日付で結ばれた。今回の契約には、四国で不動産業を営み、マルナカの前社長とも親しい山内俊夫元参院議員が仲介した。自民党に所属していた元政治家が介在したことから、政府関与の見方が浮上した。

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