船への避難、弱者に有効 静岡で原子力防災訓練

 初めて海上保安部の巡視船を避難先として活用した今年度の県原子力防災訓練。御前崎市などの特別養護老人ホームなどでは、施設のシェルター化などの原発災害対策も実施されているが、県原子力安全対策課は「今回の訓練で巡視船も避難先として使えることがわかった」としており、実際の災害時の災害弱者への対策として、海上への避難も有効な方法の一つとなりそうだ。

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 今回の訓練の想定は、中部電力浜岡原子力発電所(御前崎市佐倉)で過酷事故が発生し、放射性物質が放出されたというもの。33機関約650人が参加。浜岡原発からおおむね5キロ圏の予防的防護措置準備区域(PAZ)にある病院の入院患者や社会福祉施設入所者などが避難する際の課題抽出や、浜岡原発からおおむね約31キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)の住民へのスクリーニング場所の運営方法の確認が重点事項に定められた。

 御前崎市では、特別養護老人ホーム「灯光園」に入所する要介護者を清水海上保安部の巡視船に搬送する訓練が行われた。

 午前9時半ごろ、車いすに乗った入所者役の老人ホーム職員を乗せたタクシーが御前崎港に到着。待機していた巡視船「おきつ」の乗組員らが職員を背負って慎重に船内に運び入れた。

 防護シートが敷かれた船内では、放射性物質が付着しているかを調べるスクリーニング検査を実施。「体調はいかがですか」と乗組員が声を掛けるなど、一連の避難手順を確認した。

 訓練に参加した灯光園の沢島久美子施設長(57)は、「安全に避難できる手段は、たくさんあればあるほど安心。船は初めてだったけど有効な手段だと思った」と話した。

 訓練終了後には、同海保と県職員が訓練参加者を交えて今後の課題などについて意見交換した。

 同海保の葉梨健司・警備救難課長は「想定通り訓練ができ、関係機関との連携を確認できたことが一番の収穫だった。今後もいろいろな避難手法を検証して有事に備えたい」と話した。

 一方、スクリーニング訓練は、今回初めて県の東西2カ所で実施。静岡市の会場では、自動で素早く放射線量を計測できる「体表面汚染モニター」が初めて使用された。原子力安全対策課では、UPZ圏内には約95万人の住民がいるため、これまでの計測器の10分の1以下の数十秒で計測できる同モニターの配備は不可欠とみており、今後、国に要望して現在の2台から増設していく方針だ。

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