宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワで採取し、持ち帰った微粒子の展示が5日、大阪市立科学館(北区中之島)で始まった。国内で一般公開されている2粒のうちの1粒で、関西では初公開。来場者は顕微鏡を使って興味深そうに観察し、壮大な宇宙ロマンに思いをはせている。
はやぶさは平成15年、イトカワの表面石の持ち帰りを目的に打ち上げられ、17年にイトカワに到着。燃料漏れによる電源の不具合が発生し、地球との通信が途絶える危機に見舞われたが、予定より3年遅れの22年、奇跡的に地球に帰還した。
はやぶさのカプセル内には、イトカワへの着陸時に舞い上がった微粒子が2千個以上入っていた。
微粒子は、大きく保存用、研究用、一般公開用の3種類に分類。現在国内で一般公開されているのは、東京・上野の国立科学博物館の常設展示用と、今回の巡回展用の2粒だけという。
大阪市立科学館はこれまでも、はやぶさ関連の展示を何度も開催。イトカワの微粒子展示に向け、昨年春以降、JAXAに借り受けの依頼を続け、ようやく実現した。
会場では、微粒子1粒を展示。大きさは0・055ミリ。肉眼で見ることはできず、顕微鏡で観察する。
自然に割れた状態で、四角に近い形をしている。成分は、地球にも存在する「かんらん石」。真空状態で保存し、横から照明を当てて展示している。オリーブ色だが、非常に小さいため、顕微鏡では色が分かりにくいという。
ほかにも、オーストラリアに落下したはやぶさを探すため、地上に設置されたアンテナや、1860年にインドで発見された、イトカワと似た成分の「ダルムサラ隕石(いんせき)」、イトカワの微粒子の研究論文を掲載した米科学誌「サイエンス」なども展示している。
微粒子を観察した豊中市の介護士、中本めぐみさん(23)は「ピカピカして、きれいだった。貴重なものを見ることができた」と喜んでいた。
館の担当者は「地球外からやってきたものを、自分の目でぜひ見てほしい。イトカワの微粒子に関する研究もたくさんあることを知ってもらえれば」と話している。
22日まで。午前9時半~午後5時。入場料は大人400円、高大生300円、中学生以下無料。月曜休館。問い合わせは大阪市立科学館(電)06・6444・5656。