法廷から

「自分は誰か、逮捕されれば分かると思った」 ネット荒稼ぎ記憶喪失男に懲役2年求刑

 動画投稿サイト「FC2」にテレビドラマなどを違法アップロードし生活保護費を不正受給したとして、著作権法違反と詐欺の罪で起訴された男の公判が26日、前橋地裁(川崎学裁判官)で開かれ、検察側は懲役2年、罰金30万円を求刑、結審した。男は平成20年3月に静岡県熱海市の路上で倒れているところを発見され、記憶喪失と診断された。自らの素性を知るために始めたインターネットを駆使しFC2で稼いだ総額は1千万円以上。公判では「警察に逮捕されれば、自分が誰か分かると思った」などと動機について話した。判決は2月9日。(大橋拓史)

全て失い生活保護

 男が熱海市で発見されたのは20年3月14日。外傷はなく、財布は所持していたが、身元を示すものは何もなかった。「自分自身に関する記憶」を全て失い名前も分からなかったため、男は搬送先の病院で「鈴木太郎」と名付けられた。

 鈴木被告は退院後、神奈川県湯河原町土肥のアパートで1人暮らしを始め、20年6月には同県小田原市の福祉事務所に無収入申告をし、同月27日から生活保護費を受給していた。

 「自分の素性を知りたい」とインターネットを始めたが、有力な情報は得られず、「違法行為をすれば警察に逮捕され、指紋などから自分が誰か分かるのでは」と、FC2へ違法投稿するようになったという。

 24年11月からの約2年間で稼いだ総額は約1070万円。多い月は約70万円を稼ぎ、自宅のパソコン4台を駆使しテレビ番組などの録画と投稿を繰り返した。

 投稿作品は少なくとも2千本以上で、県警生活安全企画課サイバー犯罪捜査室によると、違法な動画配信の収入としては県内で最高額といい、全国的にみても異例の額だという。

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