国家戦略特区「創業特区」に指定された福岡市が、電波法の規制緩和を政府に要望することが29日、分かった。現在の電波法では、ICT(情報通信技術)を用いた新たなビジネス展開や、新商品開発に際して、試験段階でも煩雑な手続きが必要となっている。福岡市は、この規制を取り払うことでICT分野の起業の後押しを狙う。(大森貴弘)
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福岡市にはゲームをはじめ、コンピューターに関する企業の集積が進む。市は創業特区の規制緩和によって、起業がさらに加速し、米シアトルやカナダ・バンクーバーのような都市になることを目指している。
ゲームばかりではなく、高齢者と病院・介護施設をICTで結び、健康や生活管理をする遠隔医療・介護や、農業分野への応用も期待されている。
ただ電波法では、無線機器を扱う場合に総務相の免許や、「技術基準適合証明」の取得が義務付けられている。こうした医療や農業への応用を目指した実験に際しても、技術基準適合証明は欠かせない。だが、取得には、基本料2万円に機器の台数に応じた手数料が必要となる。
こうした負担は、ベンチャー企業の足かせとなっており、福岡市には複数の企業から、電波法の規制緩和を求める声が寄せられているという。
そこで福岡市は、ベンチャー企業がICTを使った実証試験をする際に、証明の取得を免除する電波法の規制緩和を求めることにした。現在、対象とする電波の帯域や出力などについて精査を進めている。国家戦略特区で取り組む具体的な規制緩和の内容を国と市が協議する「区域会議」で提案する。
電波法の規制緩和については、経団連も平成26年度の規制改革要望に盛り込んでいる。