万葉集の世界や吉野の歴史を描いた絵本『よしのよく見よ』の朗読会が27日、吉野町の2つの小学校で行われた。万葉集をきっかけに「吉野ファン」になったという女優の松坂慶子さんが透き通った声で朗読を披露し、子供たちが真剣に聞き入っていた。
『よしのよく見よ』は、万葉集に詠まれる吉野の文化や歴史を知ってもらおうと、町教委が奈良大の上野誠教授に執筆を依頼し、平成23年に完成した絵本。同町の幼・保育園児と小学生全員に無料配布している。
朗読会は町教委が企画。松坂さんは22年の平城遷都1300年をきっかけに万葉集の世界に魅了され、「吉野ファン」に。以来、学生に交じって上野教授の講義を聴講し、ともに朗読劇の公演を行うなどの活動も行っている。
この日は吉野北小と吉野小の2校で朗読会を開催。吉野小では全校児童106人が参加し、上野教授のユーモアあふれる「講義」の後、松坂さんが伸びやかな声で朗読を始めると、真剣な表情で聞き入っていた。
松坂さんは子供たちに「吉野に来るとふるさとに帰ってきたような温かい気持ちがします。またお会いしましょうね」と話し、子供たちからは大きな拍手が送られた。6年生の山口湧斗君(11)は「声がとてもきれいで分かりやすかった」、福田優さん(11)は「吉野に来てくれてうれしかった」と話していた。