法廷から

女性引きずり逃走の元川口市職員 飲酒運転隠蔽は「父提案」

 川口市で昨年7月、ミニバイクの女性が乗用車に約1・3キロ引きずられ死亡した事件で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)と道交法違反(ひき逃げ)に問われた元川口市職員、松村大貴被告(26)=同市源左衛門新田=の初公判が26日、さいたま地裁(河本雅也裁判長)で開かれた。松村被告は当時の行動について「混乱していた」と繰り返し、当初「事故後に飲酒した」と飲酒運転を隠蔽(いんぺい)しようとしたことなどについて「父親の提案だった」と明らかにした。(菅野真沙美)

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 松村被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側の冒頭陳述によると、父親の営む居酒屋で少なくとも生ビール中ジョッキ2杯と焼酎の水割り7、8杯を飲酒。同市安行領根岸の県道交差点でミニバイクをはね、逃走後には父親の提案で公衆浴場のサウナでアルコールを抜こうとし、缶ビールを買って出頭するなど事故後の飲酒にみせかけようとしていた。

 だが、危険な飲酒運転だったことは目撃者の証言で裏付けられた。事故前、青信号になっても前方の車が発進しないのを不審に思った目撃者が様子をうかがうと、助手席から体を起こす松村被告の姿が。その後、急発進や蛇行をしながら遠ざかっていったという。

 被告人質問では「その場の雰囲気で飲んでしまった」「運転しても大丈夫と思った」「混乱しており、父親の言う通りにした」などと話した。「このような事故で母親を失った心情をどう思うか」。被害者参加制度で法廷に立った遺族が問うと、父子家庭で祖母に育てられたという松村被告は「自分の祖母だったらと思うとつらく、申し訳ない」と声を詰まらせた。

 弁護側は、松村被告が出頭し、反省しているとして情状酌量を求めた。

 亡くなった女性は発見時、ヘルメットが砕け、骨の一部がそがれた無残な姿だった。公判の最後、河本裁判長が「責めを負う恐怖で被害者を置いていったことをどう思うか」と問い詰めると、「絶対に許されることではない。尊い命を守れたかもしれないと後悔している」と、か細い声で答えた。論告求刑公判は27日に開かれる。