外信コラム

「松阪ブタ」も堂々流通…台湾の「日本産」偽装事情

 台北で食事や買い物をすると日本の地名を冠した食材を目にすることがよくある。中でも、旅行先として人気の北海道は、乳製品やコンブなど「いかにも」というものにとどまらない。以前、ハンバーガー店で「冬季限定 北海道豚カツバーガー」を見付け、噴き出したことがある。

 台湾では取れない「北海道タラバガニ」も人気で、店によっては「北海道昆布鍋」と銘打った(普通の)水炊きを食べさせる。漢字では「鱈場蟹」とか、英語名のキングクラブから「帝王蟹」と書くが、いいかげんなもので、別々の食材として提供していた店もあった。意地悪で両方注文してやろうかと思ったが、値が張るのであきらめた。

 農林水産省が2009年からアジアを対象に行っている調査によると、日本産と偽装したり商標権を侵害したりしている疑いがある産品の割合は、台湾が最も多いという。生産者が守り育てたブランドに「ただ乗り」するのは良くないと思う半面、「そんなに日本が好きなの?」と自尊心をくすぐられるときもある。

 元は「松阪牛」をまねたはずの「松阪豚」は、今や普通名詞となっていて、銘柄ではなくサシの入った首回りの豚肉全般を指すらしい。しゃぶしゃぶで食べるとおいしく、値段も手頃なので、こちらはためらいなく注文している。(田中靖人)

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