イスラム国殺害脅迫

米記者惨殺は「メディア業界に精神的外傷」衛星電話、ツイッター…リスク計算すべき コロンビア大大学院マットロフ教授

 イスラム国に昨年殺害された米国人記者は、トルコ国境から車で1時間の地点で、インターネット・カフェに立ち寄った。取材が終わった時点ですぐシリアを出るべきだった。寄り道したので周囲に注目され、結果的に誘拐された。誘拐されてしまえば元も子もないと肝に銘じるべきだ。取材内容が報道できず、リスクを取った意味がなくなる。

 情報を十分に仕込んだのに、シリアに再入国した記者もいた。再入国した後に反シリア政府軍側から衛星電話を使ったので居場所がシリア政府に分かってしまい、滞在していたビルが砲撃された。記者はリスクを計算すべきなのだ。

 昔から(紛争地取材の)記者は危険と隣り合わせで、危険度が最近、急に高まったわけではない。1980年代は中米で米国人記者が狙われ、90年代はベイルートで友人記者が誘拐された。記者が(現地支配者と対立する外国政府の)メッセンジャーとみられ、嫌われる構図は変わらない。

 ただ、技術の発達で危険の質が変化した。現場で記者が使うソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)にもリスクが潜んでいる。SNSで政治的な立ち位置が明らかになるからだ。イスラエル駐在の米国人記者は、ツイッターの内容が原理主義組織ハマスの逆鱗に触れてしまった。シリアにいた記者は居場所をツイッターに流した結果、殺されている。

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