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高知大、4月に「地域協働学部」 国立大学も「地方創生」に開眼

 怒田だけでなく、香南市や仁淀川町の地域活性化、高知市、黒潮町、大月町の土産物店やNPOや企業での商品開発など、地域活動の幅は広がる。新学部はこうした土台のうえに生産から加工、販売までを手がける「6次産業」による本格的な実践に挑む。「実習先を増やし、多くの地域とつながりを拡大し、カリキュラムを充実させたい」と上田教授は語る。

 高知大では、県中央部の大学と遠隔地域との密接な情報交換のため2013年から、県が県内7カ所に設置する産業振興推進地域本部に教員を常駐させている。大学が地域に入り込むという意味合いの「高知大学インサイド・コミュニティ・システム(KIC)」と名づけた。こうした取り組みが評価され、文部科学省が同年スタートした「地(知)の拠点整備事業(大学COC)」で、初年度の国立?校の1校に選定された。

「実現可能性」を重視

 COC事業は、大学の社会貢献を支援することで、地域コミュニティの中核的存在として機能強化を図ることを目的とする。

 大学ジャーナリストの木村誠氏は「ほとんどの大学がCOCを目指すが、2013年度は、319校の申請うち採択されたのは国公私立合わせても52校、14年度は198校のうち24校だけ。地域貢献も理念だけではだめで、教育研究に裏付けされた実現可能性が重要視される。国立大の場合、学部再編という文科省方針もあり、地域との連携を真剣に考える大学が増えている」と語る。

 こうした潮流は高知大のような新学部開設やカリキュラムの大胆な再編に向かう動きも加速した。

 宇都宮大は2016年から文理融合や農工など理系異分野融合のカリキュラムによって、地域の課題に対応した地域デザインのジェネリックスキル(社会で通用する汎用的能力)を身につける人材育成を目指す。愛媛大では、2016年度の学部再編を目指し、文理融合で地域課題に取り組む「社会共創学部」を新設する。宮崎大でも同年度、文理融合の「地域資源創成学部(仮称)」を設置する予定という。

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