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高知大、4月に「地域協働学部」 国立大学も「地方創生」に開眼

 高知大学(高知市)に今年4月、「地域協働学部」が新設される。住民と協力して課題解決に取り組み、「地域を変える新たなリーダー」の育成を目指す。政府の地方創生策もあり、地域貢献を具体化する大学が急増する中で、高知大の先駆的な取り組みが注目されている。(編集委員 平山一城)

 高知大38年ぶりとなる新学部は入学定員60人。1年次から、地域現場での実習をカリキュラムの柱にする。「キャンパスは地域、テキストは人」。キャッチフレーズにその意気込みが表れる。中山間地にも積極的に入り込み、地元住民とのコミュニケーションの取り方を学び、課題を把握し、地域を活性化するイベントや商品開発を提案していく。

全国初の学士誕生へ

 「卒業生は『地域協働学士』という全国初の学士です。文部科学省でも当初は、学問の体系性を懸念する声がありました。しかし経済・財政など基礎科目から専門科目を積み重ねる教育課程は他学部と変わりません。そのために、防災や福祉の実務、起業経験者らを含めた?人の教員という手厚い布陣を整えました」。新学部の設置準備委員会委員長、上田健作教授は力説する。

 地元とは距離のあった国立の高知大を転換させたのは、2004年の法人化である。それまで無縁だった大学間競争にさらされ、まずは、地域に必要とされなければ生き残れない、という意識が生まれた。しかも足元を見ると、高知県は全国より15年早く1990年に人口の自然減が始まり、高齢化も全国平均より10年早く進行していた。「課題先進県」の現実が転換を急がせたのだ。

農作業からカップルも

 そこで「地域協働教育」が始まる。注目されたのは、四国山地の山間にある大豊町怒田(ぬた)での活動である。38世帯が暮らすが平均年齢は70歳を超え、標高500㍍の急斜面にある棚田は、耕作放棄地が急増していた。この怒田で生まれた高知大職員が2005年、約40年勤めた職場を離れてUターンし、「絶好の実習の場になるのでは」と呼びかけた。これを機に農学部や理学部、人文学部の教員たちがゼミ生を伴って訪れるようになった。

 それから9年、これまで延べ1千人の学生たちが草刈り、田植えや収穫に出かけた。住民たちは、定期的にやってくる学生たちに元気づけられる。学生の側では在学中に一緒に作業をした男女の卒業生が農業を志して怒田に住み着き、昨年4月結婚した。三十数年ぶりという地区集会所での結婚式には、住民全員が出席して、若いカップルの門でを祝ったという。

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