動脈に傷、血液凝固防止剤を過剰投与 北里大病院で患者死亡 神奈川

 北里大病院(相模原市南区)は19日、平成25年8月、60代の入院患者の幹細胞を採取する際に医師が誤って右頸(けい)部の動脈を傷つけ、血液凝固防止剤のヘパリンを過剰投与したため、患者が多臓器不全などで死亡するミスがあったと発表した。

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 同院によると、死亡したのは、血液内科病棟に入院していた60代後半の患者。女性医師(30)と男性研修医(28)の2人がカテーテルを首の静脈に挿入する際、試験的に刺す針を誤って動脈に2回刺した。さらに、カテーテル内の血液凝固を防ぐため、ヘパリンを通常より多い4回、計11・4ミリリットル投与し呼吸と心臓が一時停止した。また、緊急蘇生(そせい)チームの対応も遅れ、患者は低酸素脳症となって多臓器不全で処置から11日後の9月初旬に死亡した。

 同院は、事故原因は病院側にあったとして遺族側に謝罪。昨年12月に遺族と示談が成立したため公表に踏み切ったという。医師2人については、厳重注意処分とした。

 同院は事故後、血液内科の新たな患者の受け入れを現在まで中止し、内部調査で、医療事故の原因は(1)血液内科の診療体制と教育指導体制の不備(2)医師や看護師など相互のコミュニケーション不足(3)カテーテル挿入やヘパリン投与などのマニュアルの未整備-にあったと断定した。さらに、外部の医師らによる調査検討会を設置して院内の情報共有や手順確認の徹底などについて提言を受けたという。

 会見で、海野信也院長は「通常診療業務の中で起きた事故で、手順の打ち合わせや確認不足など診療体制に不備があった。遺族におわびするとともに再発防止に努めたい」と述べた。

 同院はすでに、相模原南署に「異常死」として届け出るとともに、厚生労働省、県にも医療事故として報告。同院から届け出を受けた同署は業務上過失致死容疑で捜査し、「死因とミスに明確な因果関係がない」と結論付け、捜査を終了した。

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