今年初の日韓局長級協議で、韓国側は今回も慰安婦問題を前面に据え、日本側に「誠意ある対応」を繰り返し迫った。日本政府としては、早期の日韓首脳会談実現に向けた環境整備を加速させたいところだが、慰安婦問題に固執する韓国側の姿勢に変化がない以上、関係改善の道筋は見えてこないのが実情だ。
そもそも局長級協議は今年の国交正常化50周年を見据え、日韓間の「諸課題」を議論する場としてスタートした。だが韓国側は昨年4月の第1回協議以来、慰安婦問題を集中的に取り上げ、なし崩し的に協議の着地点を慰安婦問題の「解決」にすり替えてきた。
短時間の休憩を挟んで約3時間半行われた19日の協議終了後も、韓国の李相徳(イ・サンドク)東北アジア局長は記者団に「慰安婦問題をはじめ両国の問題が解決する必要がある」とわざわざ強調した。
日本側は「韓国側は過大な期待を抱いている」(外務省幹部)と一蹴する。韓国側も、一切譲歩しない安倍政権の立場は織り込み済みとみられるが、今年が戦後70周年の節目であることから、安倍晋三首相が夏に発表する「談話」の内容を牽制(けんせい)すべく、それまで歴史問題という「反日カード」を温存したいという本音が見え隠れしている。