いばら木きになる樹

酒列磯前神社の「樹叢」(ひたちなか市)

 ■参道包む木々のトンネル

 大きな石造りの鳥居をくぐると、参道に覆いかぶさるように茂った木々が現れた。ひたちなか市磯崎町の酒列磯前(さかつらいそさき)神社では、「樹叢(じゅそう)」と呼ばれる鬱蒼(うっそう)とした森林が参道を包み込み、まるで木々のトンネルのような独特の景観を織りなしている。

 斉衡(さいこう)3(856)年に現在より少し海寄りに創建された酒列磯前神社。海に近く温暖な気候によって見事に生い茂る約4万平方メートルもの樹叢は、社殿が現在地に移された元禄15(1702)年からその姿を変えていないといい、スダジイやタブノキなどの高木にヤブツバキや海辺植物なども混ざり、多様な植生となっている点が特徴だ。

 かつては県内でも各地に見られていたという樹叢は、時を経るにつれて、まきを取るための林として利用されたり、土地開発などによってそのほとんどが姿を消しており、これほど大規模に原型をとどめている姿は珍しく、平成17年には県の天然記念物に指定された。木々の幹が入り組むように成長したその姿は独特で、一目見ようと県の内外から観光客やアマチュアカメラマンが訪れるという。

 樹叢は植生の多様性から四季折々に姿を変え、現在は周囲に植えられたヤブツバキが開花し始めている。神職は「ツバキは約300年前に植えられたといい、水戸光圀公も愛(め)でていたと聞く」と教えてくれた。

 ヤブツバキの見頃は2月から3月頃まで続くという。(桐原正道)

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 ひたちなか海浜鉄道湊線磯崎駅から徒歩約10分、常陸那珂有料道路ひたち海浜公園インターチェンジから車で約5分。ひたちなか市磯崎町4607の2。

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