「昭和」の青春

第18話 荒井由実《ひこうき雲》「自殺」した親友へ…歌詞と重なる体験に思い込め

 「初めて買ったレコードはアグネス・チャンの《ひなげしの花》(72年、山上路夫作詞、森田公一作曲)でした。その次に買ったのは確かフィンガー5。中学に入ってからは、山口百恵、クイーン、ベイ・シティ・ローラーズ、それにビートルズ。高校に入ってからは荒井由実にひかれました。その頃、姉が白いギターを買って練習していましたが、まったく興味はわきませんでした」

 荒井由実については鮮烈な思い出がある。19歳のとき、借りていたアパートの窓の外から自分の名を呼ぶ声を聞いた。外を見ると、仲の良かった友人が立っていた。小百合の顔を見るなり彼女はこう言った。「元気?」

 「その4、5日後、彼女は自殺してしまいました。死ぬ前にわざわざ会いにきてくれたんです。仲間と一緒に《ひこうき雲》を歌って彼女を送りました」

 《ひこうき雲》は73年にリリースされた荒井由実のデビューアルバムのタイトルにもなった名曲。友人の自殺をテーマにした作品といわれる。一昨年公開された宮崎駿監督のアニメ映画『風立ちぬ』のテーマ曲として使用され、リバイバルヒットした。

 就職、結婚、出産、子育てと季節はめぐる。小百合の背景には常に少しだけ懐かしい音楽が流れていた。中島みゆき《時代》(75年)、松山千春《大空と大地の中で》(77年)…。

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