「結婚・出産だけでなく、仕事などを通じて自己実現することが個人の幸せ」と、戦後民主主義的な教育を受けていた身としては、ちょっと衝撃的なリポートに出くわした。博報堂が発表した「地域しあわせラボ リサーチレポート第4号・地域しあわせ風土調査」だ。女性の幸福度に着目したこの調査の結論は「女性が出産し、子育てしやすい環境をつくることが、女性および地域の幸福度を高めるために重要」-。女の幸せは、やはり出産?(村島有紀)
「子供は3人」が最も幸せ
「子供が1人より2人、2人より3人いるほうが幸福度が高かった。また、会社員は専業主婦よりも幸福度が低く、自営業や専門職、公務員など仕事の範囲が(ある程度)決まっている職業の人が専業主婦よりも幸福度が高いのは驚きでした」と話すのは、博報堂のソーシャルデザイン専門組織「hakuhodo i+d」の代表、筧(かけい)裕介さん(39)。ソーシャルデザインは社会のさまざまな課題について分析し、解決策をデザイン(システム体系を創出)すること。「ソーシャルデザイン実践ガイド」などの著書がある。
筧さんは今回の調査の主催者で、リポートの編集長である。「地域しあわせ風土調査」は、慶応大大学院システム・デザインマネジメント研究科の前野隆司教授が考案したオリジナルの幸福度指標を使用し、共同で地域に3年以上居住している全国の男女1万5000人(20~64歳、単身赴任者と学生を除く)を対象に、昨年2月~3月にかけてインターネット上で調査した。