経済インサイド

このままではアジア太平洋は中国の影響下に置かれる…日米もたつく間に「中国版アジア開発銀行」がインフラ投資で支配力

途上国と“距離”がある米国

 こうした方針は地球温暖化対策に重きを置くオバマ政権の方針に沿った内容だが、「アジアにおける議論の余地のない開発需要と食い違っている」(米紙ニューヨーク・タイムズ)ともいえる。ある国際金融筋は「中国の支援には途上国を囲いこもうとしているといった批判も多いが、存在感が増していることは間違いない」として、中国が日米主導の途上国支援の隙間を埋める可能性を示唆する。

 一方の米国には環境問題などで高い基準を設ければ、途上国企業に比べて技術力で勝る米国企業が開発事業に参画しやすくなるとの狙いも見え隠れする。オバマ政権はアジア太平洋地域との連携強化を米国企業の進出や国内での雇用増につなげる戦略を打ち出しており、米政府高官は「支援時の基準作りは米企業にとって死活問題だ」と漏らす。

 米国は国際通貨基金(IMF)で途上国の発言力を強めるための改革にも反対を貫く。米議会で承認を得られる見通しがないことが原因だが、こうしたかたくなな態度が中国による新たな秩序作りに正当性を与えている面もある。

 関係者の間では「アジアのインフラ需要は大きく、世銀やアジア開発銀行が、中国主導のアジアインフラ投資銀行と競合することなく棲み分けることは可能だ」との見方も出ているが、中国が独自に周辺国への影響力を行使することが国際情勢に変化を与えることも考えられる。(ワシントン 小雲規生)

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