経済インサイド

このままではアジア太平洋は中国の影響下に置かれる…日米もたつく間に「中国版アジア開発銀行」がインフラ投資で支配力

 中国が主導するAIIBは日米主導の世界銀行やアジア開発銀行の対抗馬と目され、これまで先進国からの正式な参加表明は出ていなかった。それでもニュージーランドが参加を決めたのはアジア太平洋地域で経済的にも軍事的にも存在感を高める中国に完全に背を向け続けることは難しいからだ。

 同様の思惑はアジア太平洋地域の他の先進国でも表面化している。豪州のキーティング元首相は昨年10月下旬、地元メディアのインタビューで、豪政府のAIIB参加見送りについて、「アボット政権発足以来、最悪の判断ミスだ」と強い言葉で批判。中国国家開発銀行の顧問も務めるキーティング氏は野党労働党所属だが、アボット政権内でもホッキー財務相やロブ貿易・投資相らがAIIB参加を主張しているという。

 また韓国でも政府内に「中国が米国主導の秩序に挑戦するなか、韓国がどう対応するかは難しい問題だ」と対応に苦慮する声があると報じられている。

アジアのインフラ整備費970兆円

 もちろんインフラ開発に巨額の資金を必要とする途上国はAIIBを歓迎している。アジア開発銀行によると、アジア各国で10~20年に必要となるインフラ整備額は約8.2兆ドル(約970兆円)。しかし途上国にこうした需要に応じるための資金がないことは明白で、中国の朱光耀財政次官は昨秋、ワシントン市内でのイベントで「インフラ開発の需要と開発支援の間には大きなギャップがある」と指摘し、AIIBの必要性を強調した。

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