秘録金正日(7)

父、金日成を「老いぼれ」と吐き捨て 対立決定付けた南北首脳会談

 北朝鮮の核開発疑惑をめぐる米朝対立が最高潮に達した1994年6月、82歳の主席、金日成(キム・イルソン)は危機回避のため、外交の指揮を執っていた。それまで長男の金正日(ジョンイル)に国政を任せ、毎月5回程度、当たり障りのない活動に顔を出すだけだったが、この年の6月は米元大統領、ジミー・カーターとの会談をはじめ、16回の公式活動をこなした。

 7月に入ってからは、ヨルダン大使の信任状受理など、外交日程を消化するかたわら、当時の韓国大統領、金泳三(ヨンサム)との首脳会談の準備に余念がなかった。

父との最後の通話

 金泳三一行が宿泊予定の中部の景勝地、妙香山(ミョヒャンサン)を金日成が訪れたのは7月3日だ。金日成最期の数日の出来事を知る元北朝鮮高官の証言などによると、到着後、金日成は休憩も取らずに一行が泊まる予定の施設を点検した。寝室や浴室、冷蔵庫の大きさ、照明の具合などを確かめながら、細かな指示を出した。冷蔵庫には、北朝鮮自慢の「シンドク泉水(ミネラルウオーター)をたっぷり入れておくように」と指示することも忘れなかった。

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