【主張】クロマグロ 大西洋に資源管理を学べ - 産経ニュース

メインコンテンツ

主張

クロマグロ 大西洋に資源管理を学べ

 水産総合研究センターの調べで、昨年生まれた太平洋クロマグロの資源量が2000年以降で最低となる見通しであることが分かった。

 いま手を打たなければ2016年に開催予定のワシントン条約締約国会議で輸出入の規制対象種に加えられる可能性が高い。そうなると、クロマグロが近未来の食卓から消滅する恐れもある。

 マグロ好き、とりわけ本マグロとも呼ばれるクロマグロを珍重する日本人には寂しい現実となりかねない。

 国際自然保護連合(IUCN)は昨年、太平洋クロマグロを絶滅危惧種としてレッドリストに記載し、「アジアのすしや刺し身市場に狙われている」と警告した。

 最大の消費、輸入国である日本への警鐘である。日本の対応次第で、国際世論の風当たりはさらに強まろう。

 しかし、指定回避の先例がある。大西洋のクロマグロだ。

 地中海を含むこの地域では違法操業のため1980年代から資源量が急減した。2010年ワシントン条約締約国会議に禁輸案が提案され、否決されたものの、翌11年にはIUCNの絶滅危惧種に加えられた。

 危機感を抱いた大西洋まぐろ類保存国際委員会の加盟国・地域は漁獲量の大幅削減を決定した。同時に監視人の漁船乗船を義務づけて違法操業の摘発に努めた結果、12年には資源回復が認められて漁獲量が増えるまでになった。

 広い海域を大きく回遊し成長するマグロの管理に地域連携は不可欠だ。必要以上には取らない方式で資源管理に成功した大西洋の事例に学ばない手はない。

 これまで太平洋には輸出を優先する国・地域の思惑もあり、規制がなかった。日本の呼びかけで昨年ようやく、西太平洋での未成魚(30キロ未満)の捕獲量半減と、東太平洋での捕獲量4割減が決まり、今年から実行される。

 危機感共有への日本の努力を多としたいが、実現には課題も山積している。他国の排他的経済水域での違法操業の取り締まり強化、規制順守のための国際ルール作りは急務だ。親魚の保護に加え、産卵海域の聖域化を考える必要もあろう。

 一方で、食べ過ぎず持続可能な形へと、日本人のマグロ食への意識改革も進めたい。