スマホの普及で、誰もが小型高性能なカメラを常時携帯する社会が到来。このため、女性は常に盗撮の危険性にさらされているともいえ、こうした状況から女性を保護する必要がある。
しかし、こうした傾向に懸念の声も上がっている。
弁護士法人Next(東京都渋谷区)の倉持麟太郎弁護士(31)は「どのような行為が『卑猥な言動』に該当するのか不明確で、規制が広範囲に及ぶ恐れがある」と問題点を指摘する。倉持弁護士は、街中のスナップ写真や観光地での記念撮影、ツイッターに掲載する写真などが、場合によっては盗撮行為とされてしまう危険性を示し、「合法的な行動までもが自主規制の形で抑制され、窮屈な社会に変質してしまう」と警鐘を鳴らす。
さらには、「痴漢冤罪(えんざい)のように、誰かを陥れるために利用されかねない」として、「スマホがあふれている現代社会だからこそ、条例の規定は可能な限り明確にするべきだ」と訴えた。
■モラルは追いつくか
県によれば、職員が盗撮行為で逮捕された場合は、停職や免職処分が通例だが、今回は特異なケースと判断して、最も低い減給処分に処した。男性は処分を受けた2日後に職場に復帰し、現在も同じ部署で仕事を続けているという。
ある県関係者は男性について「仕事が終わってからも喫茶店で勉強をしたり、仕事熱心で責任感が強かった。それだけに周囲の動揺も大きかった」と振り返る。「逮捕されたことで、失った社会的信用は計り知れない。本人はさぞ後悔しただろう。しかし、退職せず心を入れ替えて仕事に打ち込んでいる今の彼を陰ながら見守っていきたい」(県関係者)と話した。