衝撃事件の核心

「ズボン姿の女性」を後ろから撮り、県職員は「盗撮」で逮捕された…どこから盗撮にあたる?広がるグレーゾーン

 今回、男性の行為は、県迷惑防止条例が定める「卑わいな言動」に該当するとされた。同条例第3条では、「正当な理由がなく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない」としており、その1つとして「公共の場所又は公共の乗物にいる人に対して卑わいな言動をすること」と明記。違反した場合は、6カ月以下の懲役か50万円以下の罰金が科される。

 平成20年11月の最高裁判所の判例によれば、卑猥(ひわい)な言動とは「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作」と定義されている。

 同署の捜査関係者は、今回の逮捕のポイントについて「まず、撮られた女性が被害を訴えている。次に動画記録という客観的証拠があった。そして最後に本人が容疑を認めた。この3つがそろったので逮捕は妥当と判断した」と説明。「男性は、女性のお尻をアップで長時間撮影していた。たとえ下着が写っていなくても、羞恥心を与える行為、すなわち卑猥な言動と認められる。もし女性の全身を写していたのなら、逮捕は難しかったかもしれない」と話した。

 つまり、たとえ服の上からの撮影でも、撮影した部位や撮影時間、被写体との距離などによっては、条例違反となる場合があるというのだ。

窮屈な社会に?

 「服の上からの盗撮」の摘発は、他県でも相次いでいる。

 今年8月、川崎市職員の男性が電車内でUSB型カメラを手の中に隠して、隣に座っていた女子大生の全身を撮影したとして逮捕された。相模原市では平成24年9月、文化祭でチアダンス中の女子高生の太ももなどをデジタルカメラで撮影したとして男2人が逮捕。いずれの事件も、神奈川県迷惑防止条例違反(卑猥な言動)が適用された。

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