櫻井よしこ 美しき勁き国へ

中国にひるむ必要なし

 昨年暮れ、国家基本問題研究所主催のシンポジウム「戦後70年-国際政治の地殻変動にどう対処するか」で、米ペンシルベニア大学教授のアーサー・ウォルドロン氏が、1972年2月21日のニクソン・毛沢東会談の興味深いくだりを指摘した。ニクソンは毛沢東にこう問うている。

「われわれは日本の将来図について考えなければなりません。(中略)日本を完全に防備力のないままに中立国とするのがよいのか、それとも当面アメリカと多少の関係を維持させるのがよいのか」

 右のニクソン・毛会談こそ現在の新型大国関係の基本であろう。ニクソン発言の7カ月前、キッシンジャー大統領補佐官は周恩来首相に在日米軍は中国向けではなく日本の暴走を抑制し再武装を先送りにするためだと語っている。10月22日の第4回会談では「今日われわれが、日本をいかにして経済的に築き上げたかを後悔している」とも述懐した。

 一連の発言が示しているのは、(1)国際政治においては国益が全てである、(2)米中関係はしんねりとしていて奥深く、この両大国に挟まれている日本はよほど注意しなければならない-ということだ。

 これを前向きに考えてみよう。まず、国益が全てだからこそ、不変の国益の前で関係は変化する。かつて日本を警戒し、軍事力は持たせられないと考えたキッシンジャー氏が、いま、日本は普通の国になれると言い始めた。

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