映画オタク記者のここが気になる

中国が横ヤリ? 台湾の映画祭で無冠だった日台絆の作品「KANO 1931海の向こうの甲子園」

 日本は台湾統治時にインフラ整備などを行い、台湾の近代化に多大な貢献を果たした。「KANO」で注目すべき点は、そうした歴史的背景にも目配りをしていることだ。野球部員たちが日課でランニングするコースにある広大で美しい田園風景はこの映画の見どころのひとつだが、田畑を潤す水を供給するための一大潅漑(かんがい)プロジェクト「嘉南大●(=土へんに川)(かなんたいしゅう)」に尽力した技士、八田(はった)与一にもスポットを当てている。演じたのは、TBS系ドラマ「JIN-仁-」(09~11年)の放映で台湾でも人気の高い大沢たかお。

 何より弱小チームを徹底的に鍛え上げる監督、近藤兵太郎(1888~1966年)を演じた永瀬がいい。四国の強豪・松山商の監督だった近藤は、嘉義農林の監督として礼儀を重んじるスパルタ特訓で選手たちに力と希望を与えていく。「混成チームが勝てるわけない」と言われると、「野球に人種なんか関係ない。蕃人(台湾原住民)は足が速い。漢人は打撃が強い。日本人は守備にたけている。こんな理想的なチームはどこにもない」と反論する。本編中で永瀬が笑顔を見せるのは数えるぐらいで、ほとんど仏頂面。それでも寝ている選手の布団を直したりと優しい一面も見せる。台湾のアカデミー賞といわれる「金馬奨」で昨年、日本人初の主演男優賞候補になったのには全く異論はなかった。しかし…。

会員限定記事会員サービス詳細