正論

時代を象徴する「功名心の暴走」 社会学者 関西大学東京センター長・竹内洋

 ところが功名心をめぐる慎みの文化が衰退し、かわって功名心を暴走させやすいメディア社会化が加速してきた。メディアに取り上げられないことにはどんな業績も認知されない、逆にメディアに取り上げられれば中身がともなわなくとも遍(あまね)く世人の知るところとなる。かくて「パフォーマンス」や「ウケ」(狙い)という用語が頻繁に使用されるようになった。

 パフォーマンスやウケ狙いは、何をするかや何をしたかよりも、訴求力がどうだったかに眼目をおく。心の成果主義である。冒頭にふれた今年の虚構事件は、そういう時代を象徴するものである。

 こうした功名心の暴走は、いまやあらゆる領域を蝕(むしば)みはじめている。功名心の暴走で問題なのは、うけるためならルールなどおかまいなしの逸脱行為を平気で行うことや、何をするかが先にあるのではなく、うけそうなことをするという倒立が行われることである。