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「九段線」米国から徹底論破された中国 猛反発「フィリピンの肩持つのか」

「フィリピンを助勢」

 ダニエル・ラッセル米国務次官補(61)=東アジア・太平洋担当=は2月、米下院外交委員会アジア・太平洋小委員会の公聴会で、中国政府に九段線の法的な位置付けを明確にするよう求めた。それまで批判を避けていた米政府が、国際法に違反するとの認識を示したものとして注目を集めた。今回の報告書はこれを文書によって明確にしたものだ。

 中国の領有権主張を不当だとしてフィリピンが常設仲裁裁判所に起こした提訴で、中国による陳述書の提出期限が15日に迫る時期に報告書が公表されたことで別の意味を持った。

 「中国の正当な主権や権益を否定し、フィリピンに助勢するもの」(中国メディア)と受け止められたのだ。

 米政府としては、九段線の法的根拠を明確にさせることで、南シナ海の係争海域の岩礁を埋め立てて軍事拠点化を進めるなど「現状を変更する一方的な行動」(ラッセル氏)を進めるのを牽制(けんせい)する狙いがある。

 中国はこれに加え、東シナ海上空に一方的に防空識別圏を設定し、西太平洋海域への進出ももくろんでいる。

 九段線の法的根拠を否定するのはもちろんだが、中国の海洋進出に対して「米海軍がプレゼンスを維持し、航行と飛行の自由を主張する」(米太平洋軍の次期司令官に指名されたハリー・ハリス海軍大将)ことが決定的に重要になる。(ワシントン支局 加納宏幸)

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