ソウルから 倭人の眼

韓国から日本に渡った文化財は全て略奪品だというのか…韓国内で冷静論を封じる一方的な「日本強奪史観」

 日本国内に現存する、朝鮮半島由来の文化財に向けられる韓国からの視線が異様に熱い。日本の寺などから韓国人窃盗団が盗んだ仏像、博物館に所蔵された文化財、さらには個人が所有するものまで。盗みの是非はさておき、韓国(政府やメディアなど)では結論として「元来、日本に奪われたものであり、韓国に戻すのは当然」という主張が、当然のように語られている。韓国から日本に渡った文化財のすべてが、日本人による強奪品にされかかっている。(ソウル 名村隆寛)

信仰の対象か、文化財か、商品か

 韓国で言われる「文化財奪還」の象徴的なものは、2012年10月に長崎県の対馬にある寺と神社から盗まれた新羅時代と高麗時代の仏像2体。

 日本の立場としては「信仰の対象」(下村博文文部科学相)なのだが、日本側からの再三の返還要求にも関わらず、韓国文化財研究所に置かれたまま。信仰の対象として拝まれることもなく、文化財として「接近禁止」の札が貼られているという。

 懲りもせず、2年あまりを経て11月末、また韓国から別の遠征窃盗団が対馬にやってきた。寺から新羅時代の仏像と経文を盗み、現地で逮捕された。窃盗団は警察の調べに対し、「売る目的」だったと供述。仏像を古美術の商品とみなしていたわけだ。

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