誠意とはカネや土下座のことなのか-。大阪府茨木市のコンビニエンスストアで9月、男女3人が店長らに因縁をつけて商品のたばこを脅し取り、さらに別の男がコンビニを管轄する営業所長に示談金名目で金銭を要求し、逮捕される事件があった。大阪地裁で開かれた一連の事件の公判では、「客に謝罪するのに土下座と手土産は当たり前」「営業所長から200万~300万円は受け取れると思った」という4人の信じがたい〝常識〟が次々と判明。過去にもコンビニや飲食店に因縁をつけ、金品を得るなどした「成功体験」があったことも明らかになった。「モンスタークレーマー」はなぜ生まれたのか。4人の法廷での供述を振り返る。
きっかけを作った女
一連の事件は1人の女の行動がきっかけで起きた。
9月8日午前1時ごろ、大阪府内の飲食店従業員の女(39)=恐喝罪で有罪確定=はバイクで爆走するグループの集団走行に10代の娘と一緒に参加し、グループのメンバーとともに大阪府茨木市のファミリーマートに立ち寄った。そこでメンバーの男が、持ち込んだ容器に無料で水を入れるよう要求し、店長と口論になった。
やがてメンバーらが商品をレジに持っていって購入しようとしたところ、また店長とトラブルになり、女は缶コーヒーをカウンター越しに店長に投げつけた。トラブルの発端について「お前らに商品を売る必要はない。頭悪いんか」という店長の発言に激怒したという女。退店後、グループの別のメンバーに無料通話アプリ「LINE」で事の顛末(てんまつ)を報告し、仲間内でトラブルが共有された。LINEを見たメンバーが早朝から相次いで店を訪れ、一緒になって店長らに土下座を強要した。