未解決事件を追う

消えたキーマン 失われた手掛かり 女子高生ら射殺の八王子スーパー強殺19年、思わず漏れた「もう無理かも…」

【未解決事件を追う】消えたキーマン 失われた手掛かり 女子高生ら射殺の八王子スーパー強殺19年、思わず漏れた「もう無理かも…」
【未解決事件を追う】消えたキーマン 失われた手掛かり 女子高生ら射殺の八王子スーパー強殺19年、思わず漏れた「もう無理かも…」
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 都心へのベッドタウンとして栄え、緑豊かな住宅街が広がる東京都八王子市。平成7年の夏、「銃犯罪のターニングポイント」とされる凶悪事件が起きた。スーパーの事務所で、アルバイトの女子高生ら3人が射殺されたのだ。警視庁は昨年、実行犯を知るとされるカナダ在住の中国籍の男を日本に移送し、旅券法違反容疑で逮捕したが、男は一貫して無関係を主張。執行猶予付き有罪判決をうけ、帰国した。手がかりを失ったまま、事件は発生から20年がたとうとしている。(宇都宮想)

血の海の現場「銃犯罪のターニングポイント」

 平成7年7月30日午後9時過ぎ、東京都八王子市大和田町のスーパー「ナンペイ大和田店」。夏の蒸し暑い日で、近所の公園では盆踊りの太鼓の音色が響いていた。店で働く稲垣則子さん(45)を迎えにきた知人男性が建物2階にある事務所のドアを開けると、凄惨(せいさん)な光景が広がっていた。

 血の海になった事務所で、3人の女性が変わり果てた姿で横たわっていた。アルバイトの桜美林高校2年、矢吹恵さん(17)、矢吹さんの友人で都立館高校2年、前田寛美さん(16)、そして稲垣さん。矢吹さんと前田さんはお互いの手を粘着テープで縛られてうつぶせに倒れており、稲垣さんは座った状態でついたてに寄り掛かるように倒れていた。3人とも着衣に乱れはなかったが、いずれも頭や顔を銃で撃たれ、死亡していた。

 警視庁捜査1課は八王子署に捜査本部を設置。銃はフィリピン製の38口径回転式銃「スカイヤーズ・ビンガム」で、矢吹さんらが縛られていた粘着テープからは犯人のものとみられるDNA型が検出された。現場に残された足跡から24・5~26センチのスニーカーをはいていたとみられることも分かった。

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