阿賀野高3年の女子生徒=当時(17)=が平成22年に自殺した問題で、いじめの有無などを調べていた県の第三者委員会(会長、丸田秋男・新潟医療福祉大副学長)は「女子生徒に対する不適切な言動はあったが、いじめはなかった」とする調査報告書をまとめた。自殺の原因は、進路、人間関係などで悩んだストレスから適応障害に陥ったためとした。
第三者委は、女子生徒に対してバレーボールの授業中などに陰口があったと認めたが、加害者に責任が問えるようないじめではないと判断した。陰口を言ったとされる元同級生からの聞き取りはしていないという。
一方、高校に対して「文部科学省の定義では学校が対応すべき事象である」として、陰口に対し一般的な指導にとどまった責任を求めた。非行につながる行為には留意していたが、女子生徒の変化を見逃すなど、生徒の悩みなどに対する指導が不足していたとも指摘した。
県教委に対しても、高校に抽象的な指導をしたにすぎず、専門的ではなく、明確な方針を持たず混乱の一因になった、と非難した。
また、高校は、調査で作成した文書の多くを廃棄するなど「管理に重大な問題があった」と指摘。県教委も含め、文書管理の問題意識が欠落していたとした。
丸田会長は、発生から3年近くたってから調べ始めたため、記録が残っていなかったことや聞き取り調査した当時の教員、生徒らの記憶が不鮮明になっており、調査は難しかったと言及し、「調査結果がいじめや自殺防止につながることを強く願う」と述べた。
女子生徒の自殺問題については、高校が両親の要望を受け調査したが、いじめを確認できなかったと報告した。両親は人権救済の申し立てを行い、県弁護士会はいじめと認定し、高校に事実確認と再発防止徹底を勧告。これを受けて、県は第三者委を設置し、昨年5月から調査していた。