JR武蔵野線北朝霞駅(朝霞市浜崎)のホーム延伸工事が完了し、利用が始まった。朝のラッシュ時間帯に混雑し、ホームと改札をつなぐエスカレーターの利用に支障が出ていたためで、JR東日本大宮支社管内の79駅で初めて混雑緩和を目的に電車の停止位置を延伸部分に約40メートルずらした。同支社は「安全でスムーズな駅利用につなげたい」と話している。
西端に乗客が殺到
同駅は高架駅で、ホームの両側に上下線の電車が発着する。下り線側では通勤・通学時間帯の平日午前7~9時ごろ、2駅先の武蔵浦和駅から埼京線を利用する乗客が、乗り換えに便利なホーム西端に殺到。付近のエスカレーター前まで電車待ちの列が伸びるなどしており、利用者から「エスカレーターを使いづらく危険だ」などと苦情が寄せられていた。
昨年12月から始まった工事で、ホームを東に車両2両分(約40メートル)伸ばし、約170メートルから約210メートルにした。延伸に伴って、上下線でそろっていた停止位置を上り線で東にずらした。位置変更で上り電車はエスカレーターの手前に止まり、下り線の電車待ちのスペースを確保した。
ホームの両端には転落防止用の柵を設置し、利用客の安全も確保。総工費は計約2億円だった。
同支社によると、平成9年度に1日当たり約10万人だった乗降客数は、周辺の開発が進み24年度には同約13万人へと増加。東武東上線朝霞台駅との乗り換えも可能で、通勤・通学時間帯の利用客は年々増えていた。「幅がダメなら…」
JR東日本は25年のダイヤ改正で、上下線が同時に発着しないよう運行時間を調整したが、利用客の増加に追いつかなかった。ホームの拡幅も検討したが、用地確保が困難との理由で見送った。
利用開始の13日以降、エスカレーター付近の混雑は大幅に解消されたという。担当者は「『幅がダメなら長さを』という苦肉の策だったが、うまくいってよかった。引き続き対策を探るとともに、利用者にも分散乗車をお願いしていきたい」と話している。(佐藤祐介)