現代に生きる神話 祭られる神々

第10部<日向三代、天皇の御世へ>(上)

 ■弟に敗れ隼人の祖に

 〈故火照命(かれほでりのみこと)は、海佐知●古(うみさちびこ)と為(し)て、鰭(はた)の広物・鰭の狭物(さもの)を取り、火遠理命(ほをりのみこと)は山佐知●古と為て、毛の麁物(あらもの)・毛の柔物(にこもの)を取りたまふ〉

 国譲りされた葦原中国(あしはらのなかつくに)に降臨した天孫ニニギノミコトの2人の子について、古事記はこう記す。兄は海の幸を得る男として、弟は山の幸を得る男として、それぞれ魚や獣を捕っていたというのである。

 やがて、兄弟に変化が起こる。古事記の物語を現代文風にすると、こんなあらすじになる。

 互いの仕事を交換し、魚釣りを始めたヤマサチビコは兄の釣り針をなくしてしまう。兄に責められ、海岸で泣いていると、シホツチノカミ(潮の神)が現れ、ワタツミノカミ(海神)の宮に導く。ヤマサチビコはワタツミの娘トヨタマビメと結ばれ、3年後、地上界に戻る。ワタツミは、ヤマサチビコに潮の干満を自在に操る魔法の玉を与えた。やがて兄弟間に争いが起こり、魔法に屈した兄は降伏する-

 「僕(やつかれ)は今より以後、汝命(いましみこと)の昼夜の守護人(まもりびと)と為て仕へ奉らむ」

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