秘録金正日(2)

最後に頼ったのは「ほれた娘」影の後継者 死の間際に知った正恩らの失敗と裏切り

 軍人や住民、工場労働者、学生を動員。つるはしとスコップだけで基礎工事が3カ月で「完成」し、「一般工事に比べ7倍もの速度」で成し遂げたと喧伝(けんでん)された。朝鮮労働党機関紙、労働新聞は「強盛大国に突き進む新世紀朝鮮のシンボルだ」とたたえた。

 その後も頻繁に現場に足を運んだ金正日は、宣伝を真に受け、完成すれば、平壌や周辺の慢性的な電力不足を一挙に解決できると信じていたようだ。

虚偽報告に怒り

 建設は順調に進んでいるかに見えた。金正日は付近一帯の工場に供給される電力やトラック、重機を煕川に投入するよう指示した。ところが、煕川に引き込む電線が確保できず、トラックも燃料不足で動かない。そんなところに、こともあろうに金正恩がダム建設に使う高強度のセメント約1千トンを別の都市化建設に回すよう指示した。計画の空回りは、誰の目から見ても明らかだった。

 11年1月、金正日は中央本部党委員会で、煕川問題を持ち出し、「責任を負うべき者が虚偽の報告をするから必要な措置が取れない」と指揮を執る息子ら幹部を強い調子で叱責した。

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