秘録金正日(2)

最後に頼ったのは「ほれた娘」影の後継者 死の間際に知った正恩らの失敗と裏切り

欠陥ダムに失望

 金正日が死亡した11年12月16日に受けた電話は、金正恩が「取り返しのつかない失敗」を直接、告げたものだった可能性が高い。証言や資料を総合的に分析すると、「強盛大国」実現の基幹プロジェクトであり、北朝鮮最大の水力発電所として完成を急いできた北部慈江道(チャガンド)の煕川(ヒチョン)水力発電所建設に関し、「決定的な欠陥が見つかった」という報告についてだ。

 「ダムから漏水が発見された。安全性に問題があり、工期も遅れている。仮に完成しても発電量は当初見込みの20%に満たない」。こうした報告に金正日が激怒したのだろう。

 プロジェクトの指揮は、金正恩に執らせていた。自分が全力でサポートし、国の総力を注いできた発電所建設に「決定的欠陥」が見つかったことを初めて知り、金正日がどれだけショックを受けたかは想像に難くない。

 01年に着工するも放置状態が続いたが、09年、金正日が現地指導でてこ入れし工事が再開。当初の10年計画を修正し3年以内の完成を指示した。金正日の指示は「絶対」かつ「国是」のはずだった。

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