秘録金正日(1)

最後の電話は「正恩へのいらだち」 愛娘と禁断のワインを手に…

 2011年12月16日。この日、金正日(キム・ジョンイル)は朝早く目覚めた。午前3時過ぎに就寝、9時過ぎまで眠るのが習慣になっていたが、08年に脳卒中で倒れてからは生活リズムを崩し、寝起きの時間も不規則になった。前日は午前6時に起床、3カ所を視察に訪れていたため、疲れがたまっていた。

不安定だった血圧

 北朝鮮元高官の証言などによると、16日は血圧が不安定だったため、東部咸鏡南道(ハムギョンナムド)への視察を取りやめ、平壌中心部の官邸で休んでいた。午後5時ごろ、一本の電話がかかってきた。

 通話内容は不明だが、「怒鳴り声が聞こえるほど激高していた。後継者に指名した金正恩と話したようだ」(元高官)。電話を切った後、秘書官に出かける支度をするよう指示した。

 向かった先は、長女の金雪松(ソルソン)宅。随行したのは、秘書官と担当医、警護官数人だけだった。

 金正日の健康情報にも接してきた元高官は「急に娘に会おうとしたのは、正恩との通話にいらだち、不安になった心を落ち着かせるためだったのだろう」と推し量る。

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