「国民投票が一番大切だ。そこで過半数を得るには国民的な理解が深まっていく必要があるが、まだそういう状況にはない。リーダーシップを発揮しながら憲法改正の議論を進めていきたい」
衆院選が公示された2日夜のNHK番組。安倍晋三首相(自民党総裁)は「次の衆院任期で憲法改正に本格的に取り組むのか」と問われるとこう語り、改憲への意欲をにじませた。
だが、全国遊説ではデフレ脱却に向けたアベノミクスの意義に多くの時間を割き、憲法改正を訴えることはほとんどない。与野党議員が、憲法改正をめぐり正面から論戦を挑む場面もなきに等しい。
果たしてこれでよいのか。今回の衆院選は、平成28年夏の参院選と並び、憲法改正を現実の政治日程に載せるかどうかを決する重要な意味合いがある。そういう意味では、日本の将来を左右する選挙といっても過言ではない。
6月20日、改正国民投票法が施行された。正式には「日本国憲法の改正手続きに関する法律」という。一般の選挙運動に当たる国民投票運動の細目も定まり、国民が憲法改正の是非を決める国民投票の仕組みが整った。後は衆参両院がそれぞれ3分の2以上の多数で憲法改正を発議するのを待つだけとなった。